断熱材が劣化する原因とは?住宅の断熱性が失われるとどうなるの?
壁の中や床下、天井裏などに敷き詰められている断熱材の劣化に気付くことは難しいですよね。ただ、昔より冷暖房の効きが悪かったり、結露によって壁紙やカーテンにカビが生えてしまうようなら、断熱材の劣化が原因で住宅の気密性が失われている可能性があります。そこで今回は、断熱材の劣化を引き起こす原因や、それによって生じる問題、さらに劣化具合を確認する方法について詳しくお話します。
目次
断熱材が劣化する主な原因
素材や施工方法にもよりますが、一般的に断熱材の耐用年数は20~40年と言われています。
そのため、経年劣化により住宅の気密性が徐々に失われている可能性もありますが、他にも様々な原因で断熱材の劣化が早まることがあります。
【カビの発生】
結露や換気不足によって住宅全体の湿度が高い状態が続くと、断熱材が湿気を吸収し、カビが発生しやすくなります。
また、雨漏りや水漏れによって建材内部の湿度が上がり、断熱材にカビが生えてしまうケースも見られます。
【施工不良】
断熱材の施工時に隙間ができたり、適切に設置されていなかったりすると、外気の影響を受けやすくなり、室内外の温度差が直接壁内に伝わります。
この温度差によって壁内で結露が発生すると、断熱材が水分を吸収し、そこからカビが生えて劣化に繋がることがあります。
さらに、隙間のある部分では空気の流れが生じ、湿った室内の空気が壁内に侵入して断熱材を湿らせることもあります。
【害虫の発生】
シロアリは外気や直射日光を避けるために、蟻道と呼ばれるトンネルを作って移動します。
断熱材は柔らかく、シロアリにとってかじりやすいため、断熱材の中に蟻道を作って建物内部に侵入することがあります。
シロアリ以外にも、湿度の高い場所を好む害虫は多く存在します。
断熱材が湿気を含むと、こうした害虫が繁殖しやすくなり、住宅への影響が懸念されます。
【害獣の侵入】
ネズミやハクビシン、イタチなどの害獣が侵入すると、巣作りのために断熱材をかじったり引き裂いたりして、損傷させる恐れがあります。
さらに、害獣が走り回ることで断熱材がズレて隙間が生じたり、糞尿による汚損が断熱性能の低下を招く原因にもなります。
断熱材が劣化する原因で最も多いのは、カビの発生と言われています。
特に冬は暖かい室内の空気と冷たい外気との温度差が大きく、屋根裏や壁内で結露が発生しやすくなるため、断熱材の劣化が進行する恐れがあります。
屋根裏や壁内の湿度やカビの発生状況は定期的に点検し、異変を感じた場合は専門業者に相談して適切なリフォームを行いましょう。
断熱材の劣化が暮らしに及ぼす影響とは?
断熱材が劣化すると、住宅の保温性が低下し、室内の温度調整が難しくなります。
冬は暖房を使っても暖まりにくく、夏は外部の熱が侵入しやすいため、冷房の効きが悪く感じることがあるでしょう。
また、お部屋や廊下、お風呂場、トイレなど、場所によって温度差が大きくなることも特徴です。
室内で温度差が生じることで結露が発生しやすくなり、窓ガラスが水滴で覆われたり、外壁に面した壁や床などに結露が生じることがあります。
この結露が原因で周囲の湿度が高まり、カビやダニが繁殖しやすい環境が作られると、アレルギーや喘息などの健康被害を引き起こす可能性があります。
さらに、室内の温度差が大きくなると、ヒートショックを引き起こす危険性があります。
ヒートショックは急激な温度変化によって血圧が急変し、最悪の場合、命に関わることもあるため注意が必要です。
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断熱材の劣化を簡単にチェックする方法
断熱材の劣化具合は、住み始めた頃との比較や築年数、物件の情報などから推測できます。
【断熱材の耐用年数から判断する】
断熱材の耐用年数は素材によって異なります。
たとえば、グラスウールやロックウールといった無機繊維系断熱材は、適切に施工され、湿気対策が十分であれば、30~40年程度使用できるとされています。
一方、硬質ウレタンフォームのような発泡プラスチック系断熱材は、施工環境や使用条件によりますが、20~40年程度で性能が低下し始めることがあります。
【築年数から判断する】
1980年以前に建てられた住宅では、断熱材が使用されていない場合が多く、使用されていたとしても現在では劣化している可能性が高いです。
1980年以降の住宅では省エネ基準が段階的に強化されており、当時の基準に基づいて断熱材が設置されているため、耐用年数から劣化具合をある程度推測することができます。
【住宅性能評価書の確認】
中古住宅の中には、建設時に「住宅性能評価書」を取得しているものがあります。
この評価書には断熱性能に関する等級や仕様が記載されているため、断熱材の性能や状態を確認する手がかりになります。
これらの方法を使えば、断熱材の劣化具合をある程度判断することができます。
ただし、断熱材の状態を正確に把握するには専門知識が必要な場合もあるため、リフォームが必要かどうかは専門家に相談するのがおすすめです。
まとめ
今回は、断熱材が劣化する原因や断熱材の劣化が招く住宅の問題、そして劣化具合を確かめる方法についてお話ししました。
断熱材は外から劣化具合を確認することが難しいため、リフォームが必要かどうか判断に迷われる方も多いかと思います。
しかし、ひどい結露やカビ、部屋ごとの寒暖差が大きい場合は、健康被害を防ぐためにも、早めに断熱材のリフォームをご検討ください。
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費用が心配な方もどうぞ安心してご相談ください。