ネズミを駆除する殺鼠剤(薬剤)の効果や安全性について
ネズミを駆除する殺鼠剤は、毒性の高い急性毒剤と継続的に摂取させて死亡させる累積毒剤があります。どちらもメリット、デメリットがありネズミ駆除に効果的な役割を果たしますが、使用する際には安全性を含め注意必要です。今回はそんなネズミ駆除に使われる殺鼠剤についてご紹介します。
目次
ネズミ駆除で使われる殺鼠剤とは?
殺鼠剤(さっそざい)とはネズミを駆除する目的で作られた薬剤のことで、よく使われるのが毒餌です。殺鼠剤は主に2種類あり、急性毒剤と累積毒剤の薬剤があります。どちらの薬剤にもメリット、デメリットがありネズミを駆除するのに効果的な役割を果たしますが、使用する際は十分注意が必要です。
急性毒剤の殺鼠剤
急性毒剤の殺鼠剤の効果
急性殺鼠剤とは呼んで字の如く急性で毒が効きネズミを死亡させる物です。この薬剤を含む毒餌を食べたネズミは数時間〜長くても10時間以内に死亡してしまいます。
ネズミ駆除に急性毒剤の殺鼠剤を使うメリット
ネズミ駆除に使用する急性毒剤の殺鼠剤は、上記の効果でも説明した通り、ネズミを短時間で駆除することができるのがメリットです。ネズミをいますぐ駆除したい、ネズミ駆除に時間をかけたくないという場合におすすめです。また、急性毒剤の殺鼠剤は毒餌に耐久性を持った「スーパーラット」にも効果が期待できます。
ネズミ駆除に急性毒剤の殺鼠剤を使った時のデメリット
ネズミを短時間で駆除できる反面、毒餌に混ぜても食べてくれないというデメリットがあります。ネズミは警戒心が強いため、1匹のネズミが薬剤付きの毒餌を食べた場合、問題がないのを確認してからほかのネズミも毒餌を食べるようになります。そのため、急性毒剤の殺鼠剤では、一度にたくさんのネズミを駆除することが難しくなります。また、急性毒剤の殺鼠剤は毒性が強いので、ペットや幼い子どもがいる家庭では誤食しないよう注意が必要です。
累積毒剤の殺鼠剤(薬剤)
累積毒剤の殺鼠剤の効果
累積毒剤の殺鼠剤は、継続して毒餌(薬剤)を食べさせることで効果を発揮します。少量ずつ摂取する事により血液凝固阻止作用を起こし、いずれ死亡します。急性毒剤みたいに即効性はないけれど、ネズミが食いつきやすく、確実に駆除したいときなどに使用します。
ネズミ駆除に累積毒剤の殺鼠剤を使うメリット
累積毒剤の殺鼠剤は急性毒剤の殺鼠剤に比べて毒性が低く、誤食に対する安全性が高いのがメリットです。急性毒剤の殺鼠剤に比べると即効性はありませんが、3日~5日程度の時間をかけ、継続して毒餌を食べさせることで、複数のネズミを駆除することが可能です。また、市販で販売されているネズミ駆除グッツも累積毒剤の殺鼠剤は低価格な商品が多い点もメリットです。
ネズミ駆除に累積毒剤の殺鼠剤を使った時のデメリット
累積毒剤の殺鼠剤のデメリットは継続して毒餌を食べさす必要があるため、完全駆除までに時間が掛かると言う事です。また、急性毒剤に比べると毒性が弱いため、毒性に耐久を持った「スーパーラット」には効果があまり期待できないということです。
ネズミ駆除に使う殺鼠剤の人体への影響
ネズミ駆除に使う殺鼠剤は、人体への影響が低いとされている累積毒剤であっても、殺鼠剤に含まれている成分が体の中に入ると、貧血、嘔吐などの影響を及ぼすことがあります。とくに毒性の強い急性毒剤に含まれている成分は少量でも体内に入ると死に至る場合があります。
殺鼠剤・毒餌の使用について
小さなお子様やペットがいるご家庭では殺鼠剤・毒餌を間違って食べたり(なめたり)する危険があるので、使用の際は十分注意してください。仕掛けた場所にペットや子供が入れないようにしたりするなど、必ず安全対策を取ってから使用しましょう。また、被害状況によっては粘着シートなど、殺鼠剤・毒餌を使用しない方法で駆除することも検討しましょう。
殺鼠剤の成分(薬剤別)
ネズミ駆除の際に使用する、殺鼠剤の主な成分についてご紹介します。
①黄リン
俗に「ネコイラズ」と呼ばれる猛毒です。黄リンそのものにグリセリンなどを加えて酸化を防いだものです。しかし開封すると酸化し白煙をあげ、ときには発火する危険性もあるので近年はあまり使用されなくなりました。ですが本当はネズミが利口になって食べなくなったと言われています。
②リン化亜鉛
黄リンと亜鉛を化合させて安定した物質としたもので、この毒物は酸と合わさると(体内に入ると)猛烈に反応してリン化水素ガスを発生してそれがネズミを中毒死させます。ネズミが死亡するとガスは死体から発散して無毒化するので死体を天敵のイタチなどが食べても死亡しないのです。毒エサとしては小麦粉、大豆粉、糖蜜などのネズミが好きな嗜好品に合わせて配合し、色素を加えて黒く着色し唐辛子エキスを加えて辛味をつけ、粒状、のり状、粉状の3種類が作られます。
③シリロシド
海葱と俗称されますが、アフリカの北部に自生するユリ科の植物の球根に含まれるシリロシドに毒性があるのを利用したものです。高価なためあまり一般的に普及はされておりません。
④硫酸タリウム
タリウムという重金属化合物の毒性と硫酸とを化合させ安定させたもので、殺鼠効果は確実ですが、効き目は遅効性です。化学的に安定しているので毒エサに配合された後も分解されず、また体内に入って死亡してからでも残留するので、その死体を食べたイタチが死んだり中毒を起こすという2次被害を引き起こす場合があります。したがって屋外における野ネズミの駆除には不適です。
⑤クマリン系
クマリン系の薬剤は蓄積性の血液凝固阻止作用を持ちます。一定量以上摂取すると、ネズミは内出血を起こして死に至ます。また、クマリン系のワルファリンなどは殺鼠剤だけでなく、人間にも安全に使えることがわかり、抗凝固薬として使用されていることでも知られています。
※その他ネズミ対策に使用する薬剤や対処方法はこちらをどうぞ。
ネズミ駆除に使える薬はどれ?おすすめの薬剤や毒餌の作り方
ネズミ駆除・殺鼠剤の性質(薬剤別)
①黄リン
性質:暗所で燐光を発する強い特異臭あり。
喫食性:よい
殺鼠力:強い
効果:速攻
忌避性:ほとんどない
人畜被害:ある
経済性:安い
二次中毒:あり
致死量:*20mg、人間も100mgで死亡してしまう。
②リン化亜鉛
性質:ネズミの体内でリン化水素を発生して殺す
喫食性:あまりよくない
殺鼠力:強い
効果:速攻
忌避性:多少ある
人畜被害:ある
経済性:普通
二次中毒:なし
致死量:*15mg、ネコは100mgで死亡してしまう。
③シリロシド(海葱)
性質:人畜が誤って食べると吐く
喫食性:よい
殺鼠力:かなり強い
効果:速攻
忌避性:ほとんどない
人畜被害:少ない
経済性:やや高い
二次中毒:あり
致死量:*2.1mg
④硫酸タリウム
性質:殺鼠力が大きく化学的に安定している
喫食性:よい
殺鼠力:強い
効果:遅効
忌避性:ほとんどない
人畜被害:多少ある
経済性:普通
二次中毒:あり
致死量:*5mg、人間も130〜325mgで死亡してしまう。
⑤クマリン化合物
性質:血液凝固を阻害する。連日少量摂取で効果あり
喫食性:非常によい
殺鼠力:強い
効果:累積
忌避性:ほとんどない
人畜被害:ない
経済性:やや高い
二次中毒:あり
致死量:*0.9mg連続投与総量
⑥ノルボルマイド
性質:ドブネズミ、クマネズミだけに特攻的
喫食性:よい
殺鼠力:強い
効果:速攻
忌避性:多少ある
人畜被害:ない
経済性:高い
二次中毒:なし
致死量:*3〜5mg
*ドブネズミに対する致死量。致死量は個体によって異なります。
最後に
今回はネズミ駆除に使う殺鼠剤(薬剤)の種類や効果、安全性についてお伝え致しました。殺鼠剤は主に急性毒剤と累積毒剤の2種類あり、それぞれにメリットとデメリットがあります。また、殺鼠剤の成分が体に入ると何らかの影響を及ぼすことがありますので、使用する際は十分注意しましょう。殺鼠剤の使用は安全面でも関わってくることなので、専門の駆除業者にお任せする事がおすすめです。
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