羽アリが発生する原因とは?羽アリとシロアリの関係や行動について

シロアリに侵食された木材
シロアリ

毎年4月から7月頃(春〜夏)にかけて発生する羽アリ。この時期になぜ羽アリが発生するかご存じでしょうか?羽アリが発生する原因は新しい巣を作るためです。そして、この羽アリの正体は次世代の「王と女王になるシロアリ」です。今回はあまり知られていない羽アリとシロアリの関係や行動について紹介します。

目次

  1. 羽アリが発生する原因とは?
  2. 新たな巣を作るまでの険しい道のり
  3. 羽アリの正体はシロアリの王と女王
  4. 外敵から身を守るための行動
  5. シロアリが生存するための行動
  6. 最後に

羽アリが発生する原因とは?

シロアリの巣
羽アリが発生する原因は、新しい巣を作るためです。
普段は光が当たらぬ木材などに巣を作り生きているシロアリたちですが、5月頃になると一部のシロアリ達に羽が生えきて、出会いを求めて飛び立ちます。

新たな巣を作るまでの険しい道のり

羽アリはほぼ死んでしまう

これまでは巣の中で育ってきた羽アリにとっていきなり巣を離れて飛び立つ事は至難の業です。飛び立った羽アリがパートナーと出会い新たな巣を作る確率は何万分の1の確率です。でないと世の中はシロアリで溢れかえることになってしまいます。羽アリは巣を飛び立ったあとから次々に鳥やアリなどの天敵に捕食されてしまうのです。

飛ぶも飛ばないも地獄

死ぬんならわざわざ飛ばなくてもいいじゃん?と思うかもしれませんが、羽アリは巣にとどまることは許されないのです。皆で一斉に飛び立つタイミングで巣を飛び出さなかった一部の羽アリはなんと巣の中ですべてシロアリの攻撃をうけて殺されてしまうのです。

地上に舞い降り羽を落とす

飛び立った羽アリはほぼ天敵に捕食されてしまいますが、一部の羽アリは地上に着地することができます。ここから羽アリは自らの羽を落としてからトコトコ歩いて自分の配偶相手を探すことになります。メスはオスを引き寄せるためにフェロモンを放出しますが、あまり遠くまでは届かないので基本的に脚で探すことになります。

羽アリの正体はシロアリの王と女王

シロアリを指差ししている
地道に歩いて探しだしやっと結婚相手と出会えたシロアリ(羽アリ)はタンデム歩行と言われるメスの後ろをピッタリとオスが歩く行動をします。このタンデム歩行をしながら新たな営巣場を探すのです。人間で言うなら手を繋ぎながら新居探しをしているような感じでしょうか。そして良さそうな場所が見つかると夫婦で協力して新しい巣を作り交尾をして産卵をします。そしてこのオスとメスが最初の王と女王になるのです。

外敵から身を守るための行動

シロアリにとってはタンデムを組んで行動している時は天敵のアリだらけの地上を進むことになります。私たち人間がサファリパークの中を歩いているようなもので非常に危険なのです。早くパートナーを探して木材に忍び込まなければならないのになぜこんな行動をするのでしょう?

実はこのタンデム歩行には特別な意味があるのです。羽アリは地上に着いたのちに羽を落としパートナーを見つけるまで歩くのですが、この歩いてる最中に天敵であるアリに攻撃をされて死んでしまいます。アリは1匹で行動をしている所を狙いにくるのですが、2人でタンデムを組んでいる時にはアリと遭遇しても攻撃を受ける確率は少なくなります。

もちろんタンデム中でもアリに襲われる事もあります。アリは一度に1匹だけしか持ち帰ることができないためどちらか1匹だけが襲われてしまう事になるのですが、この時のタンデムはいわば自分の身代わりとして行動をしているようなものなのです。異性を探索中に初めてオス同士が遭遇した場合、捕食されにくい後ろのポジションを巡って争い、大きい方が後ろのポジションを得ます。そして単独のメスに出会った場合はタンデムで後ろにいるオスがメスを獲得するのです。

シロアリが生存するための行動

シロアリは微生物と共に共存共栄している生き物です。巣を作る場所も朽ち木や土の中なのでさまざまなカビやバクテリアなどの潜在的病原菌との戦いでもあります。そんな中でシロアリはどうやって病気にならずに生きているのでしょう?

グルーミング

病原菌から身を守るために行なっている行動が仲間同士でお互いの体を舐め合うグルーミングと呼ばれる行動になります。シロアリの唾液には抗菌物質が含まれています。これでシロアリ達は身体を守っているのです。

墓作り

また万が一病気になって死んでしまったシロアリたちはどうなるかと言うと、これ以上病気を巣の中で蔓延しないために唾液の抗菌物質で作られたお墓を巣材で固めて入念に埋葬されるのです。最近のコロナ禍による隔離のような事がシロアリの世界にもあるのです。

互いが互いを守る

産卵を迎えるまでの最初の王と女王は2匹で生活をしていかなければならない。この時2匹はさまざまな病原菌にさらされる環境に耐えて生き抜くしかありません。この時頻繁にグルーミングが行われるのも病気にならないためです。シロアリはアリやハチと違って自分自身をグルーミングする事はできないためパートナーがいないと病気に感染して死んでしまう1匹では生きられない生物なのです。

最後に

今回は羽アリが発生する原因や羽アリとシロアリの関係や行動について紹介しました。知られざるシロアリの世界はとても奥深いものです。ですが我々にとっては厄介な存在であることは事実です。シロアリ被害が出てしまうと一大事になってしまいます。

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